「金壺」を作っているのは、江戸時代から続く「壺坂酒造」です。
こちらの記事では、長い歴史と日本酒に対する強いこだわりを持った、壺坂酒造についてまとめてみました。
●壺坂酒造の歴史
壺坂酒造は江戸時代初期、1650年に始まったとされています。その後、より良い酒造りの環境を求めて、1805年に現在の姫路市夢前に移転してきました。
壺坂酒造の酒蔵は築210年以上が経過しており、平成20年に姫路市の都市景観重要建築物にも指定されている、歴史のある建物となります。
●日本酒が生まれた土地、兵庫県
兵庫県の播磨地方は、古くから酒造りの盛んな町として、老舗の酒蔵も多くみられます。
日本酒の始まりは今から約1300年前。「播磨国風土記」に米麹を用いた日本酒を播磨で造ったとされる、酒造りの最古の記録が残されています。
金壺を造っている壺坂酒造は、そんな日本酒のルーツとも言える土地で酒造りを営んでいるのですね。
●壺坂酒造のこだわり
壺坂酒造は、酒造りにとって命ともいえる「米」「水」にこだわり抜いています。
・酒米の最高峰「山田錦」
米は「酒米の王様」と称される「山田錦」を使用しています。特に、兵庫県は粘土質の土壌、昼夜の寒暖差、気候が酒米作りに最高の環境となっています。
壺坂酒造は特に上質な、播磨の山田錦を使用して酒造りを行っているのです。
・雪彦山の清水
壺坂酒造は、日本三彦山の一つである雪彦山の伏流水を使用しています。その水質は酵母が育つための成分がバランスよく、雑味の元になる鉱物類が含まれていません。
まさに、雪彦山の清水は、日本酒を作るための水と言っても過言ではありません。
・昔ながらの自然発酵
壺坂酒造は、昼夜の寒暖差がある播磨の気候を利用した、昔ながらの自然発酵を実施しています。
壺坂酒造の酒蔵には気温を調節するための、空調設備がありません。蔵の扉の開け閉めだけで、蔵内の温度や湿度を調整し、発酵熟成させているのです。
その製造方法から「土地の気候風土に培われてこそ、地酒だと思っています」と語る壺坂当主の、日本酒造りへの強い情熱を感じることもできます。
●時代に合わせたお酒造り
壺坂酒造といえば、「金壺」「雪彦山」シリーズが有名ですよね。
しかし、壺坂当主は400年という歴史を尊重しながらも、時代に受けいれられる酒造りが必要だとも考えています。
壺坂酒造の清酒をベースとして、果実の風味を生かしたリキュールや、ノンアルコールの甘酒も製造しています。
伝統的な日本酒をしっかりと引き継いでいます。しかしそれだけではなく、酒離れが進む現代でも、より身近に日本酒を楽しんでいただきたいという、時代に合わせたお酒造りも行っているのです。
●地域のコミニュティスペース
壺坂酒造は、初めて訪れる方から、常連さんまで気軽に立ち寄れる、地域のコミニュティースペースとしても親しまれています。
時間は限られますが、酒造見学もできます。ぜひ伝統的な酒造りの場を実際にこの目で見てみるのもいいですね。